江戸錦 小田氏 2015年 @

江戸錦・親魚の部、5年連続優勝

 江戸錦は、東錦とランチュウを交配して作出された品種である。昭和20年から30年ごろにかけて2代目秋山吉五郎氏がその作出に着手し、その後、3代目秋山吉五郎氏を経て、東京都水産試験場水元分場の長澤兵次郎氏に作出が委ねられた。その作出の経緯は『金魚のすべて』(長澤兵次郎,マリン企画,昭和59年)に詳細が記載されている。

 

 現在では、様々な系統の江戸錦が流通しており、国内産のみならず中国や東南アジアで生産されたものも国内に多く流通している。

 

 今回は、江戸錦愛好家である小田義隆氏を訪ねた。小田さんは、愛知県弥富で毎年行われている金魚日本一大会の江戸錦・親魚の部において、5年連続優勝の実績をお持ちである。同一品種での親魚の部で5年連続の優勝ということがどれほど達成するのが困難であるか、その難しさを理解していただくために敢えて簡単に書くとすれば、まず、品評会で優勝できるポテンシャルを秘めた個体を見出し、育てて仕上げる技術、1匹の金魚を数年間にわたって健康に飼育し続ける技術、それらが間違いなく必要である。小田さんの飼育スペースにお伺いし、5年連続優勝を勝ち取った秘訣と飼育技術を教えていただいた。

2010年から2013年まで、金魚日本一大会江戸錦親魚の部 4年連続優勝個体

2010年から2013年まで、金魚日本一大会江戸錦親魚の部 4年連続優勝個体

2014年金魚日本一大会江戸錦親魚の部 優勝個体

2014年金魚日本一大会江戸錦親魚の部 優勝個体

 

 

飼育スペース

 

飼育小屋の外景

 観光地で有名な飛騨高山にお住まいの小田さんの飼育スペースは自宅前に建てた小屋の中だけで、ほんの4坪ほどだ。建物自体は業者に依頼して建てたものだが、室内の設備は全てご自身でおこなわれている。

 中に入ると、左右に様々な大きさのプラ舟が2段になって並べられていて、金魚たちが一斉に水面に上がってきて餌をねだってきた。

 小屋は太陽光を出来る限り採り入れながらも風通しがよくなる様、全面引き違いのガラス窓になっている。また、外気温、室内の気温、湿度が分かるようになっていて、換気扇や扇風機も設置されている。魚の健康管理上、カビが生えやすくなる湿度になるべくならないように、窓の開閉だけでなく換気扇と扇風機も併用して湿度を随時調節する。

入り口から見た様子

江戸錦親魚の舟

 

 

東錦から始まった本格金魚飼育

 金魚を飼育するキッカケをお伺いした。
「知人から譲ってもらった色んな金魚を水槽で飼い始めたのがキッカケです。そのうちに東錦が好きになり、特に鈴木養魚場の東錦(通称 鈴木東)に魅了され、それを手に入れたことから始まりました。本格的に金魚の飼育に取り組むようになったのは今から12~13年前になります。自分で卵を採って卵から育てるようになりましたが、自分ひとりで飼っていても魚の良し悪しが分からない。品評会に出して自分の魚を評価してもらいたいと思うようになり、品評会に出し始めました。大会に出し始めて10年ぐらいになります。近くには東錦愛好家がいないのですが、大会に出すと知り合いが増えてだんだん楽しくなりました。初めて出した日本一大会で当歳4位入賞したときはとてもうれしかったですね。その後、江戸錦の飼育、繁殖も始めましたが、今でも鈴木東は大好きで、系統を絶やさないように維持していますよ。」

 

 

鈴木系東錦 五歳魚

 

 

 

 

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