Vincent氏(PT. MITRA SARANA AQUATAMA)編
2014年11月18日早朝、インドネシアのスカルノ ハッタ国際空港を出発し、カリマンタン島のポンティアナ空港に降り立った。
さすが赤道直下。ジャカルタとは比べ物にならないほどの熱い日差しの中、MITRAのオーナーであるビンセント氏が空港まで迎えに来てくれた。
日本ではビンセント氏はそれほど知られた存在ではないだろう。だが、現地メディアではたびたび取り上げられるほど、ポンティアナにおいて彼を知らない人はいないと言っても過言ではない。
ポンティアナにおけるアロワナコンテストでは数々の輝かしい成績を上げているだけでなく、アロワナ協会のチェアマンを務めているのである。
アロワナブリードの腕はもちろんのこと、人望も兼ね備えた人物なのだ。
ポンティアナ空港に降り立ったその足で向かうは、ビンセント氏のファーム。
近くの船着場まで車で移動した後、そこからモーターボートで雄大なカプアス川をのぼること約30分。気持ち良い風に吹かれながら、徐々にファームが近づいてくる。過去に数度訪問しているが、何度来ても期待が高まる瞬間である。
ビンセント氏が所有するMITRAファームの風景
ビンセント氏はこのような広大な池をなんと78面も所有している。日本のアロワナファンの間で知名度の高いYUKI氏も、このMITRAファームの池を借りているそうだ。
この広大なファームで、ビンセント氏はスーパーレッドはもちろんのこと、過背金龍、紅尾金龍、バンジャールレッド、グリーンアロワナといった種類も自社のファームで養殖している。スーパーレッドだけでも月の生産量が約500尾というから驚きである。
余談だが、ここポンティアナで過背金龍を養殖しているのは、なんとMITRAのみ。原種のみを掛け合わせて作出されてきたMITRAの過背金龍は、鱗の上がりは遅いものの、深みのある金色をたたえ、重厚感のある過背金龍に仕上がる。愛好家の心を揺さぶる姿は、これぞまさに“The 過背金龍”といえるのではないだろうか。
そして、なんと言ってもビンセント氏のこだわりは、スーパーレッド。色、形へのこだわりはさることながら、枠にとらわれない斬新な個体も次々と作出しつづけている。
過去に入荷したビンセント氏のスーパーレッドの一例
スーパーレッドアロワナ
”スペシャルコレクション”
全長約30cm
30cmサイズでこの鱗の上がり。
スーパーレッドアロワナ
”スペシャルコレクション”
全長約30cm
体躯、鱗を含め将来有望。
過去に作出されたビンセント氏の変り種スーパーレッドの一例
ショートボディ
成長した姿を是非見てみたい1匹。
ロングフィン
現在、数匹のロングフィンタイプを親とし、固定化することに取り組んでいる。
三つ目
写真が上手く撮れていなかったのが残念。
なんと、2つの目と額の部分にさらにもう1つの目が!
今回の訪問の目的はスーパーレッドの買い付けである。今まではファーム内の池の横にあるストック場での選別であったが、今回は、今年ポンティアナ市街に完成したばかりの新ファームにて選別させていただいた。
今までは、ストックスペースの都合もあり、多くても100尾ほどからの選別だったのだが、この新ファームではその10倍以上、ストック数は1,000匹を超えているとのこと。スーパーレッドは500尾を超える数から選べるようにストックされており、今まで以上にグレードアップした個体がずらりと並んでおり、嬉しい悲鳴をあげることとなった。
基本的にはどれもがすばらしい個体なのだが、鱗の美しい個体、口先がしっかり染まった個体、今後が期待できる体型をもつ個体など、待ちくたびれるビンセント氏を尻目に、限られた残り時間をフルに使って選別させていただいた。
今回の訪問で選別入荷した個体の一部のご紹介
@スーパーレッド “スーパーディープヘマトイドレッド” HIGH BODY
どの個体よりも体高が高く、重厚感ある個体。さらに、赤の上がりも良好。
全長約20cm
Aスーパーレッド “スーパーディープヘマトイドレッド” BIG FIN
胸びれ、後方3ひれ(背びれ、尻びれ、尾びれ)の大きさが既に突出している個体。
全長約20cm
Bスーパーレッド “スーパーディープヘマトイドレッド” SPOON HEAD
見事なまでのスプーンヘッド。今後、成長にともないさらなる進化を期待。
全長約20cm
訪問するたびにグレードの向上を感じるビンセント氏のスーパーレッド。スケールアップしたストック場にて、より多くの個体から選別ということもあり、今回も日本のお客様に満足いただける個体を選別できたと思う。おそらく今後、さらなる飛躍とともに、日本市場でもぐんぐんと知名度が上がってくるであろう。
【PT.MITRA SARANA AQUATAMA】
水槽で泳ぐアロワナたちの魅力は、写真や言葉では伝えることができない。もし店頭でMITRAファーム産のスーパーレッドを見かけた際は、まずはじっくりと見ていただきたい。
番外編
ポンティアナには多数のアロワナブリーダー、コレクターがおり、珍しいタイプのアロワナにも出会うことができる。
今後入荷可能な逸品の一部のご紹介
バンジャールレッドアロワナ パンダ | インドネシアゴールデンアロワナ 黄変個体 |
インドネシアゴールデンアロワナ 色彩変異個体
今後もMITRAファーム、ポンティアナのアロワナから目が離せない。