採仔の流れ

ここでは、どのようにして

アジアアロワナを繁殖させているのか

という疑問に答えていきましょう。

 

アジアアロワナの雌雄の見分け方ですが、残念ながらここが全く違う!という外見上の違いがありません。

 

現地ブリーダーにも聞いてみたのですが、幼魚ではまず雌雄判別は不可能、40cmを超えてきた個体は、肛門で見分けることが出来るとのことでした。しかしながら、これも数多くのアロワナを見ているからこそ分かることで、1個体だけをパッと見せられただけでは到底判別できるものではありませんでした。

 

 

 

一応、現地ブリーダーが言う雌雄の判別方法をご紹介します。

それは、肛門の幅。

メスの肛門の幅に対してオスの肛門の幅は狭いとのことでした。ただ、どれが広く、どれが狭いのか基準が難しく、やはり相当の経験がないと見分けることは非常に難しいと感じました…。

 

 

 

では、繁殖させるためにどのような事をしているのでしょうか?

人工授精? ホルモン注射!?

 

いえいえ、現地では、完全に自然に任せています。

おっとその前に…アジアアロワナってどうやって繁殖するかご存知でしょうか?結構、特殊な繁殖方法なんですよ。

 

『マウスブリーダー』って言葉を耳にしたことはありませんか?

アフリカンシクリッドなどが有名ですが、なんとアロワナも口内保育をするんです。メスが産み落とした卵に精子をかけて、それをオスが自分の口にくわえて育てるんです。

MITRAファームでの採仔状況

ここからはMITRAファームでの採仔状況を元にお伝えしていきます。

 

1池におよそ20尾ほどの成熟した雌雄を入れ、あとは自然に繁殖するのを待つだけです。

1池につき、約2〜3ヵ月に1度のペースで池あげ(池の個体をチェックして、口内保育をしている個体から仔を取り出す作業)をおこないます。

 

 

ここでマル秘テクニック!

口内保育をしている親魚は、夜中に時折、水面に空気を吸いに来るんです。そのため、夜中に懐中電灯片手に見回りをおこなっているようです。通常、2〜3ヶ月に1度の池あげですが、仔を持っている個体がいれば、急遽そちらから池あげすることも。

 

これにより、取りこぼしを防いでいるようです。

「海外訪問記 採仔の流れの動画」へ

アジアアロワナの採仔の流れを動画にまとめました。

←クリックすると動画を再生します。

 

 

 まずは、池の端からネットで片端に追い寄せていきます。総勢7名での大作業!皆でネットの隙間から逃げないようにゆっくりゆっくりと追い寄せていきます。

 

この最中、様々な声が飛び交います。『おらー!そっち逃げるぞー!しっかり持てっ!!』などと言っていたのでしょうか。

 

 

こんな感じで、片端にネットで寄せて…

 

あとは、特注?のアジアアロワナ用ネットで捕獲していきます。

 

 

アジアアロワナはよく跳ねます。網から大きなジャンプで逃げることも。

 そして時折、飛び跳ねたアロワナがスタッフの腹部に直撃!!なんてこともあります。

 

 

ようやく捕まえた個体。

こんな感じで1尾1尾の口を開けてチェック!

非常に時間と手間のかかる作業です。

 

 

これは、日本では

絶対に絶対に絶対に見られない光景!!!

『こいつ、持ってないよー、じゃあ網の外へー。ってな感じで網の外にぶん投げます。日本で買えばウン十万するアロワナが、空中を浮遊するありえない光景をその後何度も見ることに…。

 

ここでちょっと裏話。

この時に一緒に獲れるコイ科の魚や、エビなどはスタッフたちの夕食に!結構大きな魚やエビがいるんです。これはスタッフたちにとって嬉しい瞬間。

 

では、アジアアロワナってどのくらいの期間、口内保育をするの?

自然下では、口内保育期間は6cmほどのサイズに成長するまでの約60日間。口内で卵から孵化するまでは約半月ほど。その期間、親魚はエサを全く食べないといいます。

60日間の絶食

かわいい我が子を育てるためとはいえ、なかなか簡単にはできないことですよね。

さぁ、ここからは再び感動の採仔風景をお届けいたします!

ちょっと巻き戻して、捕獲したところから

 

 

よし、捕まえた!

しっかり持って…

 

 

 

おっと逃げられた! もう一度気を取り直して…

 

 

 

お!おぉ!!! 出た出た出た〜!!!

 

 

 

よ〜く見てください!

口から卵がぼろぼろとこぼれ出ています!

 

こうして、口から仔を採られた個体は、いつものごとく空中を舞うことに・・・

 

 

網に出た仔を丁寧に採集していきます。

 

1匹の親魚から採れる仔の数はだいたい20〜30匹ほど。

 

採集するサイズは、口内保育期間が長ければ長いほどベスト。

保育期間が長いほど、その後の成長サイズも大きくなるとPT.KAWAN.SEJATIファームのEng Pang氏は語っていました。

 

その後、採集された仔は保育器へと入れられます。

 

採仔後、保育器に入れて卵が吸収されるまで飼育。

大きな水槽内に、小さな円柱状の水槽を入れ、エアレーションを強くすることで水を循環させています。

 

 

保育期間によって、仔の大きさはばらばらです。

様々なサイズの仔が保育器の中ではストックされています。

 

卵が吸収され、遊泳力がついた個体はようやく水槽に入れられます。

今回は、MITRAファームのほかに、

XIANG LENGファームでも

採仔風景を見せていただくことができました。

 

XIANG LENGファームでは、より見えやすいようにと水槽の中で見せていただくことに。 

 

 

とても立派なレッド!!

 

 

しっかり押さえて

 

 

おぉ!出ました!!

 

ポンティアナのような赤道直下でなければ難しいと言われているレッドがしっかりとマレーシアの地でも養殖されていることを実感した瞬間です。

 

 お次は非常に立派な唐草グリーン!

幻だったあのアロワナも、今ではしっかりと養殖されています。

 

う〜ん、感動!!

 

 はい! 出ました!

 

 

採れたての仔を見せてもらうと・・・

 

ん?

 

んんんーーーー???

 

 

明らかに

ショートボディ個体発見!

 

このサイズから見て分かるほどに見事なショート個体!

ここから遊泳力がつくまで保育器の中で過ごします。

 

今後の成長が楽しみですね。

 

以上、これが採仔の流れです。

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