「カクレ病」と私たちが呼んでいる、この病気は、カクレクマノミにおいて、移動直後などにとにかく出やすい病気です。一般的に言われる、トリコディナと呼ばれる原虫による病気と同じ症状なのですが、顕微鏡で見ても原虫が発見できることはなく、経験から言うと細菌性病気に効果のある薬が効きます。

 

以前は、ワイルドのカクレクマノミを入荷したときは、ほぼ全てがカクレ病を発病していました。

また、“昨日まで調子が良かったものを、別の場所に移動したら急に発病した”ということもよくあります。

 

本当に、急に状態が悪くなって、進行スピードが速い、

治療も、結構根気強くやらなければならない病気です。

 

・・・初期症状・・・

早めに気が付いて対処できれば、ひどくならずに3日くらいで改善することもあります。 

  • ヒレの先や、体表が白っぽくなる
  • 食欲が無く、ふらふら泳ぎだす
  • ヒレがピンと開いていない
 

・・・末期症状・・・

この時点からだと回復は容易ではなく、治療に時間がかかるでしょう。

  • ヒレが白く濁る
  • ヒレをたたんでいて痩せている
  • 頭を上げたような格好で泳ぐ
  • 体表に粘膜が浮き出し、白くなる
 
 

予防の方法

大切なのは、予防。

できる限り病気にならないようにできることを紹介いたします。

 

ポイントは2点。

体力環境の整備です。

 

 

体力のある魚は病気にかかりにくい

 

カクレクマノミが、周りの環境が変わったときに病気になりやすいのは、その移動などのストレスで体力が低下していることが関係しているのではないかと考えています。

体力が低下している状況で、突然、今までと違う環境へ入れられると、体調を崩すのは魚も人も同じです。

そのため、引越しなど水槽の移動の予定がある場合は、よくエサを与えるなどして万全の状態にしてから移動させましょう。


また、新しい仲間としてカクレクマノミを水槽に迎えるのなら、ブリードのものをおすすめします。

その理由を以下にまとめました。

 

ワイルドの魚(※入荷直後のもの) ブリードの魚
  • 初めて自然の海を出る
  • 長時間移動
  • 初めての水槽環境がストレスになる
  • もともと人工的な環境育ち
  • 移動距離は短め
  • 出荷のタイミングを考えながら育てられているので、しっかりエサを与えられ、体力も十分
 体力の消耗   体力の消耗 

 

ブリードのカクレクマノミは、人工飼料にも餌付いているので、移動先でもすぐにエサを食べるようになります。これは、移動したばかりの時に、少しでも食べて体力をつけないといけない時には結構重要なポイントだと思います。

※ワイルドの魚でも、一定期間飼育されているものなど、トリートメント済みのものは除きます。

 

 

環境を整える

 

ろ過の効いた環境にしておくことは言うまでもありません。ろ過が弱く、雑菌が増えてしまった環境に、移動で疲れたカクレクマノミが入れられると、病気になる可能性は高くなります。

なるべく雑菌のいない環境を整えましょう。

 

そのときは、殺菌灯がお役に立ちます。殺菌灯は、菌を殺すだけでなく、ゴミなどの有機物をバクテリアが分解しやすい形に変える力もあります。これで水質をきれいに保つことができるので、とても頼りになります。

 

特に、ほかの魚を飼っていた水槽に、カクレクマノミを追加する…というときは、慎重にならなければいけません。新入りの加入で、水槽が一気に崩壊…ということはよくありますが、それはあまりにも悲しすぎます。。

 

対処の方法

こまめな淡水浴は効果があります。

 

淡水浴以外の治療における重要な点は、

 ●とにかく水をきれいに!

 ●雑菌ら、病気の原因を退治する!

です。

 

薬が入れられる環境なら、薬を入れます。

(イソギンチャクなどは、薬を入れると死んでしまいます。)

薬浴水槽が用意できるようなら、薬浴します。

そのほうが、治りやすいです。

 

薬浴の方法

 

【薬浴水槽】

できれば飼育水槽とは別の水槽や容器を用意して、水温などを合わせた新しい海水を入れます。

(ろ過のない薬浴水槽で薬浴が長期間にわたる場合は、水質悪化などに注意してください。)

 

【薬】

「ニトロフラゾン」という成分が入っているものがおすすめです。

市販のものだと、「グリーンFゴールド」などがそれにあたります。

 

【方法】

使用量・期間・換水など、基本的には薬の使用方法に従っておこなってください。

 

飼育水槽と別の水槽で薬浴した場合は、薬浴を終えたら、様子を見ながら元の水槽に戻します。

その際、元の水槽に殺菌灯をセットしておくと、雑菌の増殖を抑える効果が期待できます。

 

エサは食べるなら少しずつ与えます。

 

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