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第48回埼玉県観賞魚品評会レポート

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第48回埼玉県観賞魚品評会 会場風景

 

 

 2015年11月3日、毎年恒例の第48回埼玉県観賞魚品評会および、第38回埼玉養殖魚まつりが、埼玉県水産流通センターで開催されました。当日の朝は冷え込んでいたものの日中は気温が上がり、秋晴れの気持ちいい天気となりました。

 

銀鱗三色和金

銀鱗三色和金

 毎年この日は、埼玉県養殖漁業協同組合の組合員が作出した自慢の魚が集まる日です。前日の11月2日に、金魚の親魚の部と当歳魚の部、メダカ、錦鯉で品評会がそれぞれ行われ、11月3日に出品魚が一般展示されます。今年はメダカの部だけ、審査員による審査と11月3日の一般来場者による投票を合計して結果が決められました。今年の金魚品評会出品魚は、比較的最近作出されたマニアックな品種が増えたように感じます。銀鱗三色和金や輝竜、めがね金魚なるものもいました。

輝竜

輝竜

めがね金魚

めがね金魚

 

 

生産者から直接購入できる即売会ブース

 当日の目玉はなんといってもやはり、即売会ブースではないでしょうか。即売会ブースでは生産者ごとにたたき池が割り当てられて、それぞれの池で生産者の方が直接金魚を販売します。自分が欲しい金魚を選んだらその生産者の方に直接現金で支払うというシステムになっています。

 

 この即売会、金魚愛好家の中では知る人ぞ知るイベントです。口コミで広まり、年々、来場者が増えています。今年も、早朝から数十人の方が並んでいました。開場は朝9時ですが、8時過ぎには既に長蛇の列。数え切れないほど並んでいます。

 

第48回埼玉県観賞魚品評会 会場風景

 

 

 

第48回埼玉県観賞魚品評会 会場風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先頭に並んでいる人にお話を伺ったところ、自宅では総水量4tの設備で金魚を飼育しておられるそうで、今回の狙いは平賀養魚場の更紗和金か、おぎの養魚場の銀鱗三色和金とのこと。毎年この日を楽しみにしておられるそうで、ここ最近はいつも先頭付近のポジションを確保しているそうです。金魚への情熱を感じました!

 

 これだけ多くの方が朝早くから並ぶ理由は、きっとここでしか手に入らない金魚がいるからなのだと思います。小赤や姉金のように同じサイズで流通する品種はありますが、金魚は同じ品種でも形や色や模様が1匹ずつ違っていて、全く同じ魚は2匹といないのではないでしょうか。

 通常、自分が欲しい魚と出会うにはたくさんの小売店を巡り、かつ何度も足を運んで通うしかありません。それでもなかなか出会うことができないような高品質な個体たちが、この日は1匹だけでなく何百匹、何千匹集まります。その中から選ぶことが出来るだなんて、こんな贅沢な場はおそらく他になかなかありません。以前は関東近郊の金魚愛好家が集まるイベントでしたが、今年は兵庫県から車で来られた方もいらっしゃったそうです。このような盛り上がり方は近年の埼玉県の金魚生産者の実力を現しているように思えます。

 

 「開場まで、残り30分となりました。」「開場まで残り3分となりました。」といった具合で都度アナウンスがあります。これがまた一層、興奮を掻き立てます。正直、ワクワクドキドキソワソワして、とてもじゃないですが開場直前は平静を保ってなどいられません!!

 

 

 

 

 ちょうど9時。ついに開場です!組合員の指示に従い、歩いてゆっくりと入場していきます。そして、お目当ての魚めがけて一直線です。

 

 ここからは一瞬の判断力が勝負の鍵です。正月のデパートの福袋などのバーゲンセールと同じかそれ以上の真剣勝負です。目の肥えた愛好家のお眼鏡にかなう魚は、本当にあっという間にいなくなってしまいます。この一瞬のために自分の選別眼に磨きをかけてくるのです。

 

 

 

 

 このように開場直後から1時間くらいは激戦模様です。午前11時ごろになると徐々に落ち着いてきて、ゆっくりと金魚を選ぶ方々の姿がみられました。金魚すくいやニジマス釣り堀を楽しんだり、ベンチで休むことも出来るので、家族連れやカップルがそれぞれに楽しんでいました。

 

 

 

 

優勝魚を購入できる

 なんと、品評会出品魚も購入することができます。全ての出品魚が購入可能というわけではありませんが、出品魚の多くに値段が付けられて販売されます。今年の親魚の部で総合優勝した琉金には、なんと80万円の値が付けられていました。毎年、出品魚を狙っている方もいらっしゃいます。

 

 

 

このイベントのもうひとつの目玉

 このイベントのもう1つの目玉は、京都で高級食材とされるホンモロコのから揚げをはじめとする、さまざまな魚料理が食べられるところです。ホンモロコのから揚げは生きているものをその場で野締めにして、から揚げにします。これを食べるために来ている方もいらっしゃるのではないかと思うほど、たくさんの方が買っていかれます。私も毎年必ず食べています。まだ食べたことの無い方はぜひお試しください。とっても美味しいですよ。

 他にもナマズの天ぷら、鯉コク、うな重など、その場で調理して提供されます。さながらB級グルメ決定戦のようです。できたてをポカポカのお日様の下で食べるともう最高です。朝早くから並んで一生懸命金魚を選んだ後や、金魚を選ぶ途中の息抜きにも最適です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 埼玉県水産研究センター職員による飼育相談室も設置されています。専門家に直接相談できる滅多に無い機会です。日ごろの飼育の悩みや疑問をここで解決できるかもしれません。

 

 また、生産者と直接話をする機会も滅多にありません。コワモテの方もいらっしゃいますが、話しかけてみると皆さん丁寧に受け答えしてくださいます。魚選びのポイントなどを聞きながら、魚を選ぶことだって出来ます。これもなかなか贅沢な時間ですね。

 

 

 金魚を眺めながら気の合う仲間同士で情報交換をしたり、生産者の方にお話を聞いたり、そのうち毎年ここで会う仲間ができるようになってくると、とても楽しいですよ。

 今年は小さいお子さんを連れた方や若いカップル、若い学生が多くなっているように感じました。大人顔負けの真剣な眼差しでぐっと池に顔を近づけて魚を選ぶ小さい子もいました。

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 閉場前、帰り際の若い学生さんたちにお話を伺うと、なんとこの日のために毎月のお小遣いを貯めてきたそうです。クリスマスよりもこの日の方が大事だそうです。「今日、来てよかったですか?」と聞くと、「来てよかったー!」と口を揃えて満面の笑みで言っていました。

 

 実は私も学生の頃、毎年必ずここへ金魚を買いに来ていました。当時の自分と同じように金魚に夢中になっている彼らの姿を見て、とても嬉しい気持ちになりました。また来年も彼らに会えたらいいなと思います。

 

 

 

買った金魚を見せ合うのも、恒例行事ですね。

 

 埼玉県観賞魚品評会および、埼玉養殖魚まつりは毎年11月3日に行われます。即売会は春にも開催されます。こちらは4月の第一日曜日です。 どなたでも丸一日楽しめるイベントとなっていますので、ぜひ、足を運んでみてください。

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