カクレクマノミ (Anphiprion ocellaris)
カクレクマノミとは
カクレクマノミと言えば、海水魚を飼育したことのない方でも知っているのではないでしょうか?イソギンチャクをまるでベッドのようにして、くつろぐ様子はとても可愛らしいです。
もともと人気のある種類でしたが、映画の主人公になってからは、ますます認知度も上がり、当時は、それまでの3倍の売り上げを記録しました。今でも海水魚の中では、定番の人気種です。
カクレクマノミが生息しているのは、主に温帯〜熱帯にかけてのサンゴ礁の海。沖縄からフィリピン、インドネシアなどの西部大西洋に分布しています。
イソギンチャクの持つ毒に対する耐性を持っているため、それを利用して、捕食者から身を守る住みかにしています。エサの調達や子育てまで、なにかとイソギンチャクに身を隠しながら過ごしています。そのためか、和名で書くと、「隠熊之実」と書かれることもあります。こう漢字で書くと、なんだか勇ましい女の子の名前のように見えますが、それも当たらずとも遠からず。カクレクマノミの中でボスにあたる存在のものは、みんなメスなのです。
カクレクマノミを含むクマノミ類は、最初全てオスで生まれます。その後、その群れで一番大きい個体がメスに変わります。そのメスが死んでしまうと、今度は群れに残ったものの中で一番大きい個体がメスになります。
このように、最初に成熟したときは、全てオスで、何かしらの要因によりメスに性転換することを「雄性先熟」と言います。逆に、最初はメスで、あとからオスに性転換することを「雌性先熟」と言います。
魚類は、成長の過程などで性転換する種類が多く、
雄性先熟である種類に、クマノミ・スズメダイ類、クロダイ、ハナヒゲウツボなど。
雌性先熟である種類に、ホンソメワケベラ、キンギョハナダイ、マハタ、クエなどがいます。
このように、ちょっと変わった生態のカクレクマノミ。一般的には、初心者向けの入門種と言われていますが、繁殖も楽しめるほか、様々な品種があるため、意外と奥深い魚でもあります。生息する地域によって違う “色や模様” のこと、飼い方や繁殖のコツなど、その奥の深い情報が、ここにあります。