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ナンノクロロシプス

ナンノクロロシプスとは

顕微鏡で観察したナンノクロロシプス(球形のもの)

顕微鏡で見たナンノクロロシプス

ナンノクロロシプスは、海産の植物プランクトンの1種で、海産クロレラとも言われています。

サイズが2〜5μmほどの、小さな球形の藻類です。

 

主な用途としては、魚に直接与えるのではなく、海水魚の繫殖で必要なワムシを培養するために使用されます。

 

また、孵化仔魚を飼育している水槽に入れて、水質を安定させるためにも使用されています。

これを使用することで、孵化仔魚の生残率が抜群に向上することがあるため、カミハタにおける海水魚のブリードには、このナンノクロロシプスが必要不可欠になっています。

その働きがどのようなものなのか、以下で詳しく紹介いたします。

 

 

ナンノクロロシプスの生態

 

ナンノクロロシプスは、植物のため、光合成をおこないます。

水中の窒素・リン・カリウムなどを栄養素として増殖します。

 

このような性質を含めた有益な特徴をもつため、古くから現在に至るまで、ほとんどの水産養殖場で利用されています。数ある植物プランクトンがある中で、ナンノクロロシプスが使われ続けているのには、以下のようなメリットがあるからです。

 

  1. 飼育水槽内にいるワムシなど生物餌料のエサとなり、飼育水槽内で、生物餌料を長く生かすことができる。
  2. ナンノクロロシプス自体の栄養価が高いので、それを食べたワムシも栄養価が高くなる。そのため、孵化仔魚にとって最適な状態の生物餌料を用意することができる。
  3. 光合成の作用で、酸素を発生させるだけでなく、魚に害のあるアンモニアを吸収することができる。
  4. 飼育水が緑色になることにより、水中の視界が悪くなるため、稚魚にストレスを与えにくくすることができる。

 

培養について

 

【塩分濃度】

海水と同じか、2/3に希釈した程度の塩分濃度の水を使用して培養します。ナンノクロロシプスを飼育槽内に直接入れる場合は、飼育水と同じ海水濃度にそろえておくと良いでしょう。

 

【水温】

もともと高水温は苦手です。25℃を超えると厳しくなってきます。

理想は、20〜22℃です。

低水温には強く、生きたまま冷蔵庫保存できるくらいです。

凍ると死んでしまいますので、真冬に屋外で培養する際は注意してください。

 

【照明】

照明は明るければ明るいほど良いです。夏場以外は、日光が良いでしょう。庭先やベランダで雨が入らないように屋根があるところが良いです。雨が入ったり、潮風がほぼ直接当たるような環境でない限り、屋外に置いたことが原因で、コンタミが発生することはあまりないと思います。ただし、水温の上がりすぎには注意しましょう。もし、屋外に設置できる環境がなかったり、夏場の気温が上がりすぎる危険を避けるために屋内に設置する場合は、ヴォルテスを至近距離で照射すると良いでしょう。

 

【肥料】

基本的には植物と一緒で、窒素・リン・カリウムが必要です。

 

【pH】

理想のpHは9.5で、基本的に9.0を超えるようにします。

8.5まで下がると、ナンノクロロシプスが減少し始める可能性があり、8.0まで下がるとほぼ壊滅してしまいます。

ナンノクロロシプスの増殖率が下がってきた場合は、アンモニア分を含んだ肥料を追加したり、きれいな海水を足してナンノクロロシプス濃度を薄めたりして対応してください。

 

【コンタミ】

ナンノクロロシプスは、ワムシのエサになるように、動物プランクトンに食べられてしまいます。

そのため、培養しているところに動物プランクトンが混入すると、すぐに食べられて消えてしまいます。

薬品などで動物プランクトンのみを撃退することも可能ではありますが、危険な薬品を使用したり、少しでも濃度を間違えるとナンノクロロシプスまで死んでしまったりするので、コンタミしてしまった場合には、処分して、新しくリセットした方が賢明です。

 

コンタミさせないためには、とにかく、ナンノクロロシプスを培養している水槽に、別のものを触った手や物を入れないことです。ナンノクロロシプスに使用する道具は、ナンノクロロシプスだけの専用にするとコンタミのリスクが大幅に減らせます。

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