片山氏 2014年 A

飼育方法

片山さんの飼育スペース。

奥にたくさんのタライとプラ舟が並んでいる。冬眠前で魚の整理も進み片付けて重ねられているタライもあるので、夏場はこれよりもっとたくさんのタライが並ぶ。右手前にある小屋にもタライが並んでいる。

片山さんは金魚の有名産地である愛知県弥富市から程近くの三重県内にお住まいだ。中国料理店を経営しながら店舗隣のスペースでプラ舟をメインに使って金魚の繁殖に取り組んでいる。

 

取材に訪れたのが冬眠前の時期だったこともあってプラ舟の数を減らし始めていたが、それにしても非常に多くのプラ舟が並んでいた。写真にはないが、建物の2階部分にもタライがずらりと並んでいて、全部あわせると軽く100個は超えている。片山さんはすべての容器を定期的に水換えをしていく。

 

 

小屋の中の様子。

こちらはスチールラックを使って2段や3段で飼育されている。

 

飼育には水道水を使用している。各タライには2方コックからエアーがポコポコと出るようにしてあるだけで、ろ過装置などは一切ない。基本的に水換えだけで管理している。飼育水は青水になっていて、どのタライにも上にすだれが渡してある。当然壁面はコケが生えてくるが、コケはあまりこすらない。ただ、コケが厚くなってくると金魚の動きが悪くなるので、そこまでの状態になる前になでる感じで落としてやるという。一度に全面をなでるのではなく、今日は横のこの面だけ、今日は底面だけという感じにしているとのことだ。

 

また、一部は室内の水槽飼育もされているが、そちらも外のタライと同じように2方コックからエアーがポコポコと出るようにしてあるだけでろ過装置は、ない。ただ、各水槽に蛍光灯が点けてあった。照明がないと状態が安定しないそうで、色揚げのエサを与えても色が揚がりにくいという。さらに色揚げについての考え方を伺うと、たとえば3時間の点灯時間よりも24時間の方が色が揚がるし、蛍光管も明るめのものを使用しているとのことだ。また、コケよりも色揚げ用のエサの方が色の上がり具合は断然良いという。

エサやり

エサやりは、夏場だと6時から2時間おきに合計7回(6,8,10,12,14,16,18時)に分けておこない、その頻度でも毎回金魚がエサをねだりに寄ってくるぐらいの量を与えている。エサを与えるとあっという間になくなってしまう量が1回に与える量の目安になる。1日にあたえるエサの量をトータルで10とすると、5の量を2回に分けてやるよりも、2の量を5回に分けてやるほうが、結果的に良いことが多いとのことだ。

 

与えるエサの種類の時系列は、

ブラインシュリンプ→『ひかりプランクトン』(キョーリン)→

らんちうディスク増体用』(キョーリン)と『おとひめC1,C2』→

らんちうディスク増体用』(キョーリン)→

ランチュウベビーゴールド』(キョーリン)と『咲ひかり金魚 色揚用』(キョーリン)となる。

 

現在使用しているエサで完璧かというと、そうは言えないそうで、新商品が出るとその都度、自分で試してみて判断している。

病気について

自家繁殖の魚は病気にはかからないし、敢えて病気にかけ耐性をつくるようなこともしないという。病気にしてしまうとエサを多く与えることが出来ず、成長スピードが落ちてしまう。特に当歳魚は4月ごろに産卵させて10月の大会まではわずか半年しかない。病気にかけている時間的な余裕はないのである。

 

そのため、病気にならないように日々の観察が大事になる。調子を崩しているかどうかは毎日魚の動きをみて判断していて、調子が悪そうならば即全換水で代謝を促し、必要があれば薬も使うとのことだ。

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