深見養魚場 2014年 秋 A

らんちゅうのコブ

らんちゅうのコブについて伺った。「目先があることが1番大切。そして、目幅が広いと上見で頭が四角く見えるし、肉瘤があるのが目立つから良い。コブ(特にふんたん)の色は白よりも赤の方がコブが大きくなる。同じ個体でも左右のふんたんの色が赤と白で違うと、大きさに差が出やすい。」とのこと。

 

 

ビニール池で育てたらんちゅう 当歳魚

池での育成方法

 

らんちゅう 親 三歳魚

色の違いがコブの大きさに関係してくるということは、非常に興味深い。

 

肉瘤に関しては、2006年に、「肉瘤は,表皮と真皮疎性線維結合織の瘤状増殖による著しい肥厚が原因である。」という研究報告がなされている。

 

「肉瘤が発達した個体では基底膜下の真皮結合組織層が厚く、この部分に繊維芽細胞や血管が多く分布することが観察されたこと」や、「繊維芽細胞からコラーゲン繊維が伸長して網目状に広がり、特にコラーゲン繊維が高密度に分布するところには必ず血管が隣接して分布することが認められた」とある。(鈴木伸洋・谷津正洋「キンギョ(ランチュウ品種)の頭部肉瘤の組織学的観察」(『海―自然と文化』東海大学紀要海洋学部 第4巻第2号 p.1-7(2006))

 

らんちゅうのコブについてこれら組織に関する細胞の増殖・分化をコントロールすることが出来れば、愛好家自身が理想とするコブを作ることができるかもしれない。コブの色とコブを形成する組織についての関連性について現時点では不明な点が多いが、今後、コブに対しての切り口の1つとして頭に入れておきたい情報である。

らんちゅう 親 三歳魚(上画像下と同一個体)

らんちゅう 親 三歳魚(上画像下と同一個体)

 

なお、品評会から持って帰った魚は33℃の池を用意しておきエルバージュとパラザン、マゾテンで薬浴を行う。この方法でトリートメントをおこなえば、大体死なせずに済むとのことである。品評会から持ち帰った魚が来年、再来年といったように毎年出場し続けるためには、金魚のトリートメントは欠かせない技術である。

 

産卵に使う種親の数

いくつかの品種について、産卵に使う種親の数を教えていただいたので以下に記す。オスとメス合わせた数である。らんちゅうは200〜300匹、江戸錦・桜錦は100匹、六鱗30匹、土佐錦30匹、秋錦60匹。らんちゅうの採卵数は何万粒なのかわからなくなるほどたくさん採卵しているとのこと。ちなみに、キンギョヘルペスウイルスが流行する以前の江戸錦や桜錦の系統は、今よりももっとコブが出ていたとのことだ。

 

江戸錦 親魚

桜錦 親魚

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