難しく考えずに・・・
「グッピーの繁殖」というお題をいただいた際、「オスとメスを一緒にすることです」で済ましてしまおうと思ったのですが、それではあんまりではないかということでしたので…
卵胎生魚の仲間であるグッピーは、熱帯魚繁殖の入門種として必ずとりあげられています。水質や水温等特にうるさくないため、一般的な熱帯魚を飼育する環境下でオスとメスがいれば容易に繁殖までいけるでしょう。注意するのは、親が生まれた稚魚を食べることがあるくらいです。それとて稚魚が隠れ易そうな水草の繁みがあればたとえ混泳水槽内でも、「おや、いつのまにか」とか「パパ、ほらこんなトコロに赤ちゃんがいる〜」といった具合に稚魚の姿を見ることができます。
この障害物を用いて稚魚を得る方法は、海外の生産地でもおこなわれています。水槽が池にスケールアップしただけでなく、メス親のサイズも「これはモーリーか」と思うほどボリュームタップリ。その池に浮かんでいる水草やヤシの葉っぱの影には、親から逃れてきた稚魚たちがワラワラと身をよせていました。そして稚魚たちの回収係としてバケツと網を持った大勢の少年少女達が、1日中膨大な数の池をまわりってすくい集めていたことが思いだされます。
しっかり繁殖させたいときは・・・
しかしそれではあまりに放任すぎるではないか、もっときちんと稚魚をとって、偶然繁殖したではなくて繁殖させたと思いたいならば、親をきちんと分けて産仔させてください。
幸い産仔間近のお腹ポンポコリンのメスは、下腹部に見られるいわゆる「妊娠マーク」と呼ばれるお腹の黒い部分が大きくなり、さらによく観察すると孵化した稚魚の目が見えるようになります。こうなると大体2〜3日で産仔されますので、産卵ボックスを設置するなり他の産仔用の水槽を用意してメスを隔離してもらえれば、稚魚をしっかり回収することができます。
あとはその稚魚を大事に育ててください。卵胎生魚のため稚魚も比較的大きく、稚魚用の人工飼料も食べることができるので初期飼料で悩むこともありません。(もちろんベストはブラインシュリンプですが。)3〜4ヶ月もすれば、雌雄立派なグッピーになることでしょう。
さらにこの種類のグッピーをもっと美しく作っていきたいとか、自分も新しい品種を創っていきたいと思う方は、もうグッピーだけのために水槽の棚を作ってあげてください。おそらく1品種あたり、親の掛け合わせ用・稚魚育成用・若魚育成用(オスメス別々で)・次期親候補用など4〜5本の水槽が必要となるでしょう。そしてお気に入りのグッピーが増えれば増えるほど、水槽は雪だるま式にどんどん必要となります。自分の懐具合とご自宅の財務大臣とよく相談の上、こちら側の世界にぜひ来てくださるようお待ちしております。
さいごに・・・
グッピーの「飼育が容易である」・「繁殖が容易である」・「変異に富む」という特徴は、このような趣味を持つ人達を惹きつける必須な要因ではないかと思います。
「飼育が容易である」から、長く続けることができる・いろいろオリジナルの飼育方法を考え出すことができ自分の形をつくることができる。
「繁殖が容易である」から、どんどん殖やすことができる・累代繁殖ができ、血統をつくり出すことができる。
「変異に富む」から、常に驚きがある・オリジナルを産み出すことができる。
このように入るのは易しく極めるのは難しいこの魚について昔の人は言いました。
「グッピーに始まり、グッピーに終わる」